海外の認知症施策紹介 Vol.2

文/臨床心理士 太田一実

世界の各国で認知症のためのさまざまな募金活動が行われています。今回はオーストラリアで開催される「Wipeout Dementia
を紹介します。

Wipeout Dementiaは、サーフィンを通して認知症の研究のための資金を集めるキャンペーンです。The Center for Healthy Brain Aging (CHeBA)が主催しており、集められた資金はCHeBAのプロジェクトThe Dementia Momentumに寄付されます。
Wipeout Dementiaの参加者は、4週間にわたってサーフィンのためのトレーニングを受け、イベントの最後にはトーナメント方式で競技会が開かれます。このイベントは2015年の5月に初めて開催され、その後、毎年5月と11月にオーストラリア国内のさまざまなビーチで開催されています。2016年11月はサーフィンで有名なボンダイ・ビーチが会場となりました。

Wipeout Dementia では、身体のバランスやコントロールを養うと同時に筋力をつけるようなトレーニングが行われます。運動が不足すると、心臓疾患、高血圧、脳卒中、肥満、糖尿病、抑うつなどに罹患しやすく、これらの疾患はすべて認知症の危険性を高めるといわれています。一方、運動は脳の働きに対して保護的な効果があると報告されています。認知機能の低下を抑制し、将来の認知症のリスクを下げるためには、若いころからアクティブに活動することが重要です。Wipeout Dementiaは、人々にそのような認識を広め、何歳になってもアクティブな生活を送るように推進しています。

The Dementia Momentumの代表者でWipeout Dementiaの参加者であるリチャード・グレルマンの妻は、若年性の認知症を発症し2014年から介護施設で生活をしています。リチャードは妻と一緒に認知症と戦ってきた経験から、今後、認知症の予防や治療などに関する研究が発展することを強く望んでおり、このようなキャンペーンを積極的に進めています。

Wipeout Dementiaは、サーフィンの元世界チャンピオンであるウェイン・バーソロミューも参加するなど、サーフィン界の著名人からの注目も集めています。




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臨床心理士/太田一実 Kazumi oota

臨床心理士